キャリア共奏Labの濱野です。


前号に続き、
「心を知る技術」
 高橋和巳先生  筑摩書房
より。

—– 抜粋 —–
気づきは、科学的発見の瞬間に似ている。
ニュートンがリンゴの落下を見て
万有引力を発見したようにである。

彼の発見は、リンゴの落下と月の公転という
まったく別のものと理解されていた
二つの現象を、共通の力によって
説明したことである。

気づきは、苦しい思い出や胸に詰まった感情、
そしていくつかの気になる物語が
ひとつにつながることである。

語ることによって、
過去と現在が整理され、
憎しみは憎しみ、
悲しみは悲しみに分類される。

それまでバラバラであったものが、
どれが何の原因で生まれ、
何がどこから出てきたのか、
互いの関係がクライエントの
頭の中で熟成され、
自然につながりあっていく。


万有引力の発見は月の満ち欠けや
リンゴの落下に何の影響も
もたらさないが、
新しい知識は人工衛星を実現して、
人の自由を広げた。

これと同じように、
気付きは現実世界に何の変更も
もたらさない。
・・・
しかし、気付いた人は、
同じ世界を異なる見方で解釈し、
その結果、新しい生活を始める。
その人は思い込みと恐怖から解放され、
もう、一つの物語にこだわる必要はない。
新しい物語を自由に選べるのだ。
・・・
ばらばらに生じていたように
見えたさまざまの物語や感情、
思い出がきれいに整理され、
霧が晴れたように、自分の思い込みと
それから生まれた人生が見えてくる。

深層意識に隠されていた思い込みと
恐怖が浮かび上がり、
思い出が作り直される。
—————————————-


気付きは現実世界に何の変更も
もたらさない。
でも、気付いた人は、
同じ世界を異なる見方で解釈でき、
結果として、思い出が作り直されていく。

そして、作り直された思い出によって、
この先の未来も、
思い込みで縛られた過去の延長線上
ではなく、新しい物語を紡ぎ出して
いくのだろう。

以前は、
「過去と他人は変えられないけど、
 自分と未来は変えられる」
という言葉が好きだった。

けれど、ここ最近は、
「自分と未来は変えられる。
 そして、解釈を変えれば、
 過去すら変えられる」
という言葉が好きになった。

後半の言葉は、
私自身が付け加えたものである。

過去に起きた事実は
何も変わらない(変えられない)けれど、
解釈が変わることによって、
過去すら書き換えられるのではないか

そう思うようになった。

そんな気付きをクライエントが得られるような、
カウンセラーを目指したい。

ここ何回かで紹介させて頂いた、
高橋和巳先生 の本は、
本当に良かった。

カウンセラーにはもちろんのこと、
「心を知る技術」のほうは、
何かに悩まれている方にもお薦めの一冊です。

家にいる時間が長くなっている今、
是非読んで頂きたい一冊です。